生命樹 2025年09月15日
~古代生命へのリスペクト~

地球上の沢山の命が樹木の枝のように脈々と分かれて、生命が絶えず輝き続けてきたストーリーを、私なりの想像によって一枚の紙に描写しました。
書であり絵でもあり、古くて新しい、コンテンポラリーアートです。
篆書体について
「篆書体」は秦の始皇帝専用の文字として考案された書体で、印の書体として多く使われています。その書体をもとに文字を、そして絵や記号を加えアレンジしました。
「色」は、生命力のある赤い線から書き始め、金や銀、他約7~8色を徐々に書きこんで行きました。
「赤紫の紙」に光沢感を出す加工をしました。
「文字の装飾」は、呪術的な意味を持つ鳥蟲篆。
またテンペラ画の「植物文様」=無限を表す。
「命」の三角形はエジプトのピラミッドをイメージし、「生命の復活」の意味を込めました。
日本の伝統文様「松」=寒さに強い植物。
木へんは「中国の瓦当文様」を参考にした男女の絵を記号化。
モンゴルへの旅で見つけた太古の「ゆるキャラたち」

(出典:Ts. Turbat & D. Tseveendorj (eds.),
『Монгол Алтайн мөнх цэвдгийн булш / Eiskurgan des Mongolischen Altaj』
Admon Publishing, 2016.)
10年前に、モンゴルへ「漢字のルーツを探る岩画拓本ツアー」に3年続けて参加し、多くのインスピレーションを受けました。
岩画には沢山の動物や人間が彫られており、単純化された可愛いポップアートという印象があるのですが、中でも鹿が多く描かれ、その角の渦巻きがそれぞれ違った特徴を持って描かれていました。
立派な角であればあるほど強くて生命力を持つ――その強さへの憧れもあって描いたものと考えられますが、自然界のデザインとして渦巻はインパクトがあり、画面を楽しくさせてくれるものだなと感じます。
そして、幻の「神の鹿」と呼ばれる2m以上の岩画を探して、ようやく辿り着いた場所は高い崖の上にあり、強いエネルギーを感じるパワースポットでした。
おそらくこの絵の前でシャーマンが儀式を行っていたに違いないと想像でき、神聖な岩画と向き合い、メンバー一人一人お香を立てお祈りをしました。
ちなみに私は、突然、何の知識も無く参加したため風よけのシートを持つのが役割で、偉そうなことは言えませんが、古代の人々が岩に込めた意味を想像することで、私なりに時を超えて大切なメッセージを古代人から受け取ることができた旅でした。
そんな想い出を、今回の作品の中に「神の双鹿」として登場させました。
雁皮紙を使用
雁皮紙は、繊維が短くて細かいため、表面が滑らかで薄くても強度のある紙です。
細い線で書くため、今回この紙を選びました。
歴史ある紫雁皮紙
雁皮紙は、奈良時代より経典を書き写す写経用紙として重宝されて来た最高級の紙です。
しかし、栽培することは大変難しく、自生の雁皮は今では絶滅危惧種となってしまいました。
「紫色」もまた、1000年以上前から「むらさき草の根」からほんの僅かな色素を採って作られ、色の中では最も高級な色とされ、聖徳太子の衣装の色でもありました。
空海が手掛けた両界曼荼羅も、赤紫の絹地に金銀で細かく曼荼羅が描かれており、4メートルくらいの巨大な布を染めるための染料だけでも莫大なお金をかけられていることが分かります。
現在、私が使用した紫雁皮紙は、1000年前のものとは同じ製法・原料ではないと思いますが、惜しくも今年その紙を作る日本の職人さんが廃業してしまい紫雁皮紙が製造中止になったという情報を知りました。
残念な気持ちと、1000年以上前から続いた紙が途絶える前に作品として残すことができたことを、とても有難く感じました。
この5年くらいで、どんどん良質な紙が無くなりつつあり、紙だけに留まりませんが職人の方々へのリスペクトを感じながら、これから製作して行きたいと思います。













【出典】小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)



































